ART 2025.07.07

2000年代初頭・大阪の現代アートの熱気を検証するグループ展「TEXTURE PUNK」が開催。∈Y∋、COSMIC WONDER、森千裕、金氏徹平らが参加

EYESCREAM編集部

2000年代初頭、大阪を中心に巻き起こった現代アートのうねりを検証するグループ展「TEXTURE PUNK」が7月12日より馬喰町PARCELにおいて開催される。出展作家には、森千裕、COSMIC WONDER、∈Y∋、今村源、金氏徹平、木村友紀、伊藤存

当時大阪を中心として関西全体に及んだシーンでは、アート、ファッション、音楽が互いに混沌としながらも交差し、刺激し合うことで、新しい表現の生まれる土壌が形成されていた。本展は、当時このうねりの渦中にいた作家たちを集め、彼らが主に1990年代後半から2000年代初頭に生み出した作品を通じて、当時のムーブメントが現代にどのような影響を及ぼしているのかを探る試みとなる。展覧会にあわせて、7月26日にはパフォーマンスイベントとトークイベントも開催される。
 
以下、本展の企画を担当する金氏徹平のステートメントからの一部抜粋だ。

このムーブメントは目に見える形を持っていなかったし、名前も付いていなかった。自分たちからそれを名付けることもなく、外から呼ばれることもなかった。
近くにあった音楽シーンには「関西アンダーグラウンド」というざっくりした呼び名があったが、美術にはなかった。それ以前の時代には「関西ニューウェーブ」というざっくりした呼び名があったが、その時代にはなかった。
今も、昔も、これからもそれに名前が付くことはなさそうだし、名付ける必要もない。そもそもどこから(具体やダムタイプも繋がっている?)どこまでの何を指しているのかもはっきりしない。
なので、私はごく近しい同じ時代と感覚を共有していると思える友人と相談し、私的な視点で、アーティストとしての自我を形成していった時期に周囲にあった、もしくは触れていた、さらには影響を受けた作品やアーティストで展覧会とライブを作りたいと思い、ライブのキュレーションは塚原悠也さんに委ねた。
このムーブメントには幸か不幸か名前も定義も無いのだから、こんなふうにそれぞれがちょっとずつ違った視点を交錯させながら、複雑なレイヤーを持って語られたり、認識されたり、乱立したり、そして、前後左右と接続させてみたりするのが良いのではないかと思う。
そして、なるべく意味の無い展覧会のタイトルが必要であった。森千裕によって展覧会には
「TEXTURE PUNK」と、ライブイベントには「METALLIC HOLE」と付けられた。意味は無いが、主張でもなく、姿勢でもなく、ファッションでもなく、イメージでもない、質感としてのパンクであり、ソリッドな物質感のある穴である。

ー金氏徹平

Teppei Kaneuji, Sea and Pus (Photograph of Monkey #4), 2006
Framed Page of Encyclopedia, Collage, 30.5×27.5×3.5cm
Photo: Riko Takagi


Chihiro Mori, Rotten Sign (Chewing Gum), 2005
paint on signboard and clay, 95.5×90×7cm
Photo: Riko Takagi

かつての大阪付近のカオティックなアツさは、現在の日本のアートシーンにどう根付いたのか? また、そのムーブメントは今後どのような形で変容していくか? そして大都市が失いつつある熱量とは何なのか? 本展を通じて、当時のアーティストたちが築いた「場」と、そこから派生した思想の現在地点を浮かび上がらせる。

INFORMATION

TEXTURE PUNK

会期:2025年7月12日(土) – 8月24日(日)
会場:PARCEL(東京都中央区日本橋馬喰町2-2-1 DDD HOTEL 1F)
休廊:月・火・祝日、8月13日(水) – 17(日)
出展作家: 森 千裕、COSMIC WONDER、∈Y∋、今村 源、金氏 徹平、木村 友紀、伊藤 存
展示企画:金氏徹平
主催:PARCEL

*オープニング・レセプション:7月11日(金)18:00 – 21:00

*イベント:7月26日(土)開場13:30 / 開演14:00
入場料:1,500円 ※チケットをお持ちの方のみ、出入り自由
LIVE「METALLIC HOLE」:和田晋侍(ミュージシャン)、荒木優光(アーティスト)
スペシャルトーク:金氏徹平(アーティスト) × 塚原悠也(アーティスト)× 和田晋侍(ミュージシャン) × 荒木優光(アーティスト)

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